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「薬屋のひとりごと」シーズン2第1話「猫猫と毛毛」ー名前の秘密とは?

アニメファン待望の『薬屋のひとりごと』シーズン2がついに放送開始されました。本作は、架空の中華風帝国「荔(リー)」を舞台に、宮廷で繰り広げられる陰謀と薬師・猫猫(マオマオ)の活躍を描いた物語です。その華麗な衣装や中国唐代を彷彿とさせる世界観は、日本だけでなく、中国でも高く評価されています。

『薬屋のひとりごと』シーズン2の第1話のタイトル「猫猫と毛毛」を見て、中国語ネイティブの方々はすぐに意味を理解できるかもしれません。しかし、日本語の読者にとっては、漢字だけを見て「どういう意味?」と疑問に思うかもしれません。

ネタバレ注意 第25話「猫猫と毛毛」— タイトルの意味とは?

シーズン2の第1話のタイトルは「猫猫と毛毛」。中国語に馴染みのある方ならすぐに意味を理解できるかもしれませんが、日本語話者にとっては「どういう意味?」と疑問に思うかもしれません。

本作の主人公である薬師・猫猫(マオマオ)は、宮廷の医局で働いています。第1話の後半では、皇女が1匹の子猫を見つけ、その子猫が公主のペットとして迎え入れられます。そして、皇帝によってその子猫の名前が「毛毛(マオマオ)」と名付けられるのです。

ここで、猫猫はどこか不満げな表情を見せます。その理由は、「猫猫」と「毛毛」のフリガナ表記は同じ「マオマオ」であり、「猫猫」は子猫が自分と同じ名前になっていることに不満を持っているからでしょう。一方、中国語の視点から見ると、「猫猫(マオマオ)」と「毛毛(マオマオ)」の発音は厳密には異なります。その違いを生むのが「声調(せいちょう)」です。

声調とは?

声調とは、言葉の意味を区別するために使われる音の高低やパターンのことを指します。中国語(普通話)には4つの声調があり、声調が異なるだけで単語の意味がまったく変わってしまいます。

例えば、中国語学習の最初の授業で、多くの人が以下の練習に苦戦したのではないでしょうか。

(mà):叱る

(mā):母

(má):麻(あさ)

(mǎ):馬

図1 中国語の「声調」

「猫猫」と「毛毛」の違いは?

まず、それぞれの発音を確認してみましょう。

  • 猫(māo):第一声(高く平坦な音)
  • 毛(máo):第二声(低い位置から上昇する音)

また、重ねて発音する場合、「猫猫」は「māo mao」、「毛毛」は「máo mao」となり、特に中国語ネイティブの耳には明確に異なって聞こえます。

図2 猫猫と毛毛の正確な発音

しかし、日本語では声調の概念がないため、どちらも「マオマオ」としか聞こえません。これが、猫猫が子猫の名前に対して不満を抱いた理由なのです。

アニメの発音はネイティブにどう聞こえる?

複数の中国語母語話者に確認したところ、アニメ内の発音は下記のように聞こえられていることがわかりました。

図3 アニメの発音イメージ

中国語ネイティブの視点からアニメの発音を分析すると、いくつか興味深い点が浮かび上がります。

  1. 「猫猫」の発音が標準の第一声(māo)よりも低く始まっており、日本語のアクセントの影響を受けている可能性がある。
  2. 「毛毛」の発音も微妙に異なり、本来軽声であるべき後半部分が第一声のように高く発音されている。

このように、日本語の「高低アクセント」と中国語の「声調」の違いが、発音の微妙なズレを生んでいることがわかります。

では、なぜこのようなことになるのでしょうか。

一つ考えられるのは、日中両言語のアクセントの違いです。具体的には、中国語には4つの声調があり、それぞれ決まった音の高さがあるのに対し、日本語のアクセントは「高」と「低」の違いだけで表されます(例:「雨」と「飴」)。図3では、「猫猫」のアクセントが「高円寺」や「荷物」と同じように聞こえています。また、「毛毛」のアクセントは「電車」や「習慣」に近いです。結論として、アニメでは日本語のアクセントで発音されたことがわかりました。

中国語学習における発音の重要性

『薬屋のひとりごと』は中華風ファンタジー作品であり、厳密な言語の正確さを求めるものではありません。しかし、中国語を学ぶ人にとっては、発音が非常に重要なポイントになります。

例えば、以下のような単語は声調を間違えると意味が変わってしまいます。

  • 买(mǎi):買う(第三声)
  • 卖(mài):売る(第四声)

正しい発音ができなければ、意思疎通が難しくなることもあり、場合によっては誤解を招くこともあります。

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