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国際ロボット展で感じた、世界のロボット産業の“今”と“これから”

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国際ロボット展で感じた、世界のロボット産業の“今”と“これから”

──深圳を中心とした中国企業の存在感が急拡大──**

12月3日~6日に東京ビッグサイトで開催された「国際ロボット展(iREX)」に行ってきました。4日間にわたり世界中から最新のロボット技術が集まるこの展示会は、毎回非常に大きな注目を集めていますが、今年の盛り上がりは特に印象的でした。会場に入った瞬間から、機械の動作音や来場者の熱気が混ざり合い、“未来が一堂に集まっている場所”であることを強く感じさせてくれました。

今回まず目についたのは、中国企業の出展数の多さと、その存在感の強さです。深圳、上海、蘇州、広州という、中国の主要テクノロジー都市から数多くの企業が集結しており、展示ブースの規模も大きく、製品の完成度にも非常に勢いがありました。特に深圳は「中国のシリコンバレー」と呼ばれるほど製造と技術開発が盛んで、国際ロボット展でもそのポテンシャルをはっきりと示していました。

会場内を歩いていると、どのブースにも最新のロボットが次々と稼働しており、日本企業が多いと思われがちなロボット展において、中国企業がここまで存在感を増していることは、産業の勢力図の変化を象徴しているように感じました。


ヒューマノイドロボットの進化が鮮烈 — 実用化は目前に

今年の展示で特に注目度が高かったのが、「ヒューマノイドロボット」です。全身を使った動作で歩行し、物を持ち上げ、工具を扱い、さらには人の動きを模倣するなど、以前よりも格段に自然な動作が実現されていました。

会場では複数の企業がヒューマノイドを披露しており、そのどれもが「研究用」ではなく、「実用化を視野に入れたプロトタイプ」という位置付けでした。
例えば、製造現場での簡易作業、人間と同じ空間での協働、災害時の危険区域での作業代行など、実際の職務をこなす想定でデモが行われていました。特に人間に近い身長やアーム可動域、バランス制御の精度向上は目を見張るものがあり、数年前では考えられなかったレベルに到達しています。

“世界は今、本気でヒューマノイドを産業に投入しようとしている”
そんな強い潮流を肌で感じられました。


物流の未来を支える運搬ロボット(AMR/AGV)の成熟度

もうひとつ印象的だったのが、運搬ロボットの豊富さと技術の成熟です。
倉庫や工場で活躍するAMR(自律走行搬送ロボット)やAGV(無人搬送車)は、もはや珍しい技術ではなく、実用化前提の製品として高度化が進んでいました。

・LiDARやカメラを使った高精度マッピング
・AIによるルート最適化
・複数台の群制御による効率化
・安全停止や回避挙動の高度化
など、どのブースでも「現場でどう役立つのか」が明確に説明されていました。

特に人手不足が深刻化している物流業界にとって、これらのロボットは必要不可欠な存在になりつつあります。自律走行は年ごとに洗練されており、設備投資さえ整えば、各企業の導入が一気に加速しそうな印象でした。


深圳企業の存在感 — PaXini、PUDU、Standard Robots が示す“深圳の底力”

今回参加していた深圳企業の中でも、特に目立っていたのが
PaXini Technology、PUDU Robotics、Standard Robots の3社です。

PUDU Robotics は日本でも飲食店や施設で見かけることが増えた配膳・サービスロボットを展示。最新モデルは外観デザインがさらに洗練され、動作もより滑らかでした。飲食店だけでなく、病院や学校など幅広いシーンでの活用が広がる可能性を感じました。

Standard Robots は工場物流で使用されるAMRを展示。安全性・耐久性・走行安定性の高さが印象的で、産業向けロボットの分野で世界的評価が高い理由がよく伝わってきました。特に、複数台を同時制御するデモは迫力があり、工場全体の効率化をどこまで高められるかを具体的にイメージさせてくれました。

PaXini Technology はスマート物流分野で注目されている企業で、効率的な搬送システムや倉庫の自動化技術を紹介していました。ブース内ではヒューマノイドロボットがアイスクリーム作って、カップにクッキーを入れてくれるサービスもあり、楽しませてくれました。深圳らしいスピード感と革新性が詰まった製品群で、今後の成長が非常に期待されます。


ロボット産業は“未来”ではなく“現在”へ

今回の国際ロボット展を訪れて強く感じたのは、ロボット技術はもはや未来の話ではなく、“現在進行形の産業”であるということです。
ヒューマノイドも運搬ロボットも、研究段階をすでに超え、社会実装に向けて急速に動き始めています。

特にアジア、とりわけ深圳を中心とした中国企業の勢いは非常に強く、日本企業も大きな刺激を受けているように感じました。世界がどの方向へ進んでいくのか、そのヒントを間近で見ることができた貴重な展示会でした。

来年以降の国際ロボット展も、世界の技術動向を知るうえで欠かせない場になることは間違いありません。今回得た学びをもとに、ロボット産業の動きに今後も注目していきたいと思います。


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