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深圳体験記2025:真・無人タクシー体験 ― AIが運転する安全な旅

中国の「シリコンバレー」と呼ばれる深圳、街には新しい技術が次々と導入され、生活の中で自然に体験できるのが魅力です。今回のサマーキャンプでは、その先進性を肌で感じようと、話題の無人タクシー(Pony.ai・小馬智行 社)を実際に利用してみました。昨年はBaidu社の車を体験した際はまだ安全員が同乗していましたが、今年はついに完全無人になりました。しかも車両はレクサスSUVで、最大3人まで乗車できる仕様でした。

アプリで簡単に呼べる便利さ

利用方法はとてもシンプルです。専用アプリをダウンロードして、携帯番号と支払い方法(WeChat PayやAliPayも対応)を登録すれば、約3分で準備完了。乗車・降車は自由に選べるわけではなく、決められたスポットから選択する仕組みです。

今回はホテル近くのスポットから大学の最寄り「深大駅」まで乗車しました。配車を確定してから約4分後には車が到着。車外スピーカーから挨拶が流れ、アプリでドアのQRコードを読み取ると自動で解錠されます。

※アプリを利用するには、中国の携帯番号が必須です。

乗車体験と車内の工夫

座席に着くと、目の前のタブレットにガイドが表示されます。指示の通りにドアを閉じて、シートベルトを締めれば、本人確認画面へ切り替えされます。本人確認は登録の携帯番号の下4桁で行われ(中国の他の配車サービスと同じ)、画面に下2桁だけ入力すれば、緊急時の操作方法や安全に関する注意事項などが表示され、「内容を理解し同意」ボタンを押せば出発の準備が完了。次の画面で「出発」ボタンを押したら、自動的にウインカーが出され、ハンドルも自動でくるくる回し始めます。しっかり後方を確認した上でスムーズに発進されました。

タブレットの画面上部には到着予定時刻が表示され、エンターテインメント機能として音楽の再生も可能です。リラックスしたいときや気分を高めたいときなど、その時の気分に合わせてカテゴリーから音楽を選ぶことができます。

運転席側を覗くと、複数のカメラが設置されており、インパネにもタブレットが搭載されています。そこにはカメラやレーダーで検知した周囲の道路状況がリアルタイムで映し出されていました。走行中に未来的な移動体験を視覚的に確認できるのは、とても印象的でした。

走行中の印象

走りは全体的に落ち着いていて安全志向。深圳の交通マナーの良さも相まって、快適に過ごせました。一度だけ急な割り込みで強めのブレーキがかかりましたが、システムがしっかり衝突を回避したと考えると、むしろ安心感が増しました。さらに印象的だったのは、その直後にクラクションを鳴らしたことです。おそらく不満を示すため、あるいは割り込んできた車に注意を促すための動作だったのでしょう。無人車が「感情的」な反応をしたように見え、興味深い体験でした。

また、2車線道路で前方の車が停まった際には、隣の車線に車がいても無理に車線変更をせず、状況が落ち着くまで待つ慎重さも見られました。人間ドライバー以上に冷静な判断をしている印象です。

降車の様子

目的地に到着すると、車は自動的にハザードランプを点灯させ、道路の右側に寄せて停車しました。今回は右側が歩道ではなく自転車道で、さらにガードレールもありましたが、しっかりと安全な距離を保って停まってくれました。

降車の際には「後方確認」や「忘れ物注意」といったアナウンスが流れ、目の前のタブレットにはドア外の映像が映し出されます。窓には小さなバックミラーも設置されており、安全に降りられるよう工夫されていました。

降車後もすぐに発進せず、ドアを閉めると外部スピーカーから再度「忘れ物にご注意ください」と案内が流れます。後続車からクラクションが鳴った際には、「ただいま乗り降り中です。もうしばらくお待ちください」と外部スピーカーで応答する配慮もありました。

そして、いろいろと確認して試した後、結局は所定の時間が来たからなのか、あるいは私が車から離れたからなのか、タイミングを見計らったように外部スピーカーから「ありがとうございました」とお礼の言葉を残し、無人タクシーは静かに走り去っていきました。

良かった点

  • 車両が清潔で快適
  • 安全運転が徹底されている
  • 初期設定が簡単で短時間
  • 乗車から降車までがスムーズ
  • 料金が手頃(5kmで約235円)

改善を期待したい点

  • エアコンの調整ができない
  • 車内タブレットの機能は音楽とルート表示のみ
     → 今後は翻訳機能やエンタメなど、さらなる機能拡充に期待です。

無人タクシーならではのメリット

普通のタクシーと比べると、無人タクシーにはいくつかの魅力的な利点があります。

  • 料金が安い
     人件費がかからない分、通常のタクシーよりリーズナブル。
  • アプリで完結する手軽さ
     配車から支払いまでアプリで完結。ドライバーとのやり取りが不要で、外国人旅行者にも便利です。
  • 安定した安全運転
     AI制御により常に交通ルールに従い、急発進や強引な追い越しが少なく、安定した走行が可能。
  • 未来的な体験
     タブレットで道路状況を確認できるなど、通常のタクシーにはない「体験価値」があります。
目次

まとめ

今回の無人タクシー体験を通して、未来の移動手段がすでに深圳の街に根づいていることを実感しました。日本ではまだ実証実験が中心ですが、深圳では市民が日常的に利用できるレベルに到達しています。

呼び出しは簡単で、乗れば安心して目的地まで行ける。そして料金もリーズナブル。街全体が新しい技術を積極的に取り入れる姿勢は、深圳らしさを象徴していると感じました。今後はさらに快適性や機能の充実に期待が高まります。

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