

2025年4月13日より開催されている大阪・関西万博で一際目を引く建築が、中国パビリオンだ。
中国パビリオンでは、5月12日(火)から14日(水)までの3日間、「深圳ウィーク」が開催され、中国・深圳市から多数のIT企業が集結。中国のイノベーション都市・深圳の最新技術と、日本でも身近になりつつあるロボット技術が一堂に会し、多くの来場者を魅了した。
深圳は「中国のシリコンバレー」とも称されるITの中心地。今回の深圳ウィークでは、テンセント(Tencent)をはじめとした代表的な企業が出展し、注目の技術を紹介した。中でも来場者の関心を集めたのが、テンセントによる「手のひら認証」技術のデモンストレーションだ。ユーザーの掌をかざすだけで個人を特定し、支払いなどの認証が完了するこの技術は、すでに深圳大学の学生食堂などで実用化されている。非接触でスピーディーに決済ができることから、感染症対策や混雑緩和の観点からも今後の活用が期待される。


また、日本でもファミリーレストラン「ガスト」などでお馴染みの配膳ロボット(Pudu Robotics)も登場。深圳企業が開発したこのロボットは、店舗スタッフの補助を目的として、料理や飲み物を自動で運ぶ。来場者の間では「ガストで見たことがある!」という声も多く、技術が国境を越えて浸透していることを改めて感じさせた。






展示エリアでは他にも、最新型のロボット掃除機や電動一輪バイク、小型ながら高性能なドローンといった製品が紹介された。いずれも深圳で開発されたもので、その技術力の高さと実用性に驚かされる。特に自律走行型のロボット掃除機(NARWAL)は、AIによって部屋の間取りや障害物を学習し、効率よく清掃する設計になっており、家庭用から業務用まで幅広いニーズに対応している。
こうした最先端のテクノロジーが紹介される一方で、中国パビリオン自体も強い存在感を放っている。外観は、古代中国の書記具である「木簡(もっかん)」をモチーフにした斬新なデザインで、伝統と未来が共存する中国の姿を象徴している。会場内では来場者が思わず足を止め、記念写真を撮る姿も多く見られた。



内部には、テクノロジー展示だけでなく、中国の歴史的な美術品や、春夏秋冬の季節をテーマにした文化的な展示も並ぶ。静謐で荘厳な空間の中で、来場者は中国の多様な自然や文化に触れることができる。これらの展示は、最新技術の喧騒とは対照的に、悠久の歴史を感じさせるものであり、訪れる人々に深い印象を残した。
さらに、パビリオン内のお土産ショップでは、中国パビリオングッズをはじめ、可愛らしいパンダの赤ちゃんのぬいぐるみや伝統工芸をモチーフにした雑貨なども販売され、訪れた人々のお楽しみの一つとなっている。

テクノロジーと文化、伝統と革新。両極にあるように思える要素が、ひとつの空間に違和感なく融合しているのがこの中国パビリオンの魅力だ。深圳ウィークは終了したが、万博会期中には今後もさまざまなイベントが予定されており、中国パビリオンから目が離せない。






