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大阪・関西万博 中国パビリオンレポート

大阪・関西万博 中国パビリオンレポート

2025年の大阪・関西万博において、中国パビリオンは圧倒的なスケールと芸術性で来場者を魅了する空間として注目を集めています。本レポートでは、特に印象的であった展示内容を紹介しながら、中国が誇る歴史・文化の奥深さを体感できた経験を振り返ります。

まず来場者を迎えるのは、「文字の滝」と「文字の川」と呼ばれる壮大なプロジェクションマッピングの演出です。壁面から床へと流れ落ちるのは、中国の象形文字をはじめとしたさまざまな漢字たち。滝のように勢いよく、また川のように静かに流れる文字の動きは、まるで生きているかのようであり、観る者に中国語の長い歴史と美しさを直感的に伝えます。光と文字が融合したこの空間は、デジタル技術を用いながらも、古代の叡智を現代に蘇らせる試みとして非常に完成度が高く感じられました。

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館内を進むと、数々の文化財が展示されたエリアに辿り着きます。中でも注目を集めていたのは、甲骨文字や金文が刻まれた工芸品の数々です。甲骨文字は中国最古の文字体系とされ、亀の甲羅や動物の骨に刻まれて占いなどに使われたものであり、その貴重さと歴史的価値は計り知れません。一方の金文は、青銅器に鋳込まれた文字であり、当時の王朝の制度や思想を読み取る手がかりとなる貴重な資料です。これらの展示は、中国文明の原点に触れる貴重な機会を提供してくれました。

また、中国独自の暦である「二十四節気」が、円形の大型モニターに美しい映像として映し出されていたのも印象的でした。春分、立夏、白露、冬至など、四季の移ろいを24の節目で表現するこの暦は、自然と人間の調和を重んじる中国文化の象徴といえます。映像には農村の風景や季節の花々、伝統的な祭りの様子などが織り込まれており、自然とともに暮らしてきた中国の人々の生活哲学を感じ取ることができました。

さらに、展示の中には「殷墟(いんきょ)」という中国古代の遺跡の紹介もありました。殷墟は紀元前1300年ごろに栄えた殷王朝の都の跡地で、甲骨文字が初めて発見された場所としても知られています。展示では、実際に出土した遺物の複製や発掘の様子を再現した映像などがあり、殷王朝時代の人々の暮らしや精神世界を立体的に学ぶことができました。このような考古学的な展示は、単なる知識の紹介にとどまらず、歴史への想像力をかき立てるものでした。

最後に印象的だったのが、「青山明月(せいざんめいげつ)」と名付けられた木彫り作品が並ぶ美しい回廊です。繊細な木彫りで山水画を立体化したようなこの回廊は、自然と芸術が融合した空間であり、静けさと気品に満ちていました。木のぬくもりと、精緻な彫刻によって描かれた山、川、月のモチーフが、まるで中国古典詩の世界に入り込んだかのような感覚を与えてくれます。

総じて中国パビリオンは、歴史、芸術、技術が調和した圧巻の展示空間であり、中国という国の多層的な魅力を五感で体験できる場所でした。伝統を未来につなげるその姿勢は、万博という舞台にふさわしいものであり、多くの来場者の記憶に深く残ることでしょう。

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