
中国語を勉強していると、
「単語の意味は分かるのに、会話全体の意味が分からない」
ということがあります。
特に中国のIT企業やスタートアップ、ビジネスの現場では、一般的な中国語の辞書には載っているものの、日本語に直訳すると意味がつかみにくい表現がたくさん使われています。
例えば、
复盘(fùpán)
对齐(duìqí)
落地(luòdì)
颗粒度(kēlìdù)
という4つの言葉。
一つひとつの漢字を見ると、何となく意味が分かりそうです。
しかし、実際の職場では、日本語の直訳とは少し違ったニュアンスで使われます。
今回は、深圳のIT企業や中国のビジネス現場を理解するために知っておきたい4つの中国語を、実際の会話をイメージしながら紹介します。
1.复盘(fùpán)=仕事を振り返って、次につなげる
まず覚えておきたいのが、「复盘(fùpán)」です。
「复」は「もう一度」、「盘」は「盤」などの意味を持つ漢字ですが、現代のビジネスでは、
仕事やプロジェクトを振り返り、結果や問題点を整理して、次の改善につなげる
という意味で使われます。
日本語なら、
- 振り返り
- レビュー
- 検証
- 反省会
- 改善点の整理
などが近いでしょう。
例えば、「我们开个会复盘一下这个项目。」は
「このプロジェクトについて、みんなで振り返りの会議をしましょう。」
という意味です。
また、「这次活动结束以后,我们需要复盘。」
なら、「今回のイベントが終わったら、振り返りをする必要があります。」
となります。
ここで大切なのは、「复盘」は単なる「反省」ではないということ。
「誰が悪かったのか」を追及するというより、
何が起きたのか
↓
なぜそうなったのか
↓
次はどう改善するのか
を整理するニュアンスで使われることが多い表現です。
2.对齐(duìqí)=「認識を合わせる」
次は、对齐(duìqí)です。
もともとは「揃える」「整列させる」という意味があります。
ところが、ビジネスの現場では、
関係者の認識・目標・方向性を合わせる
という意味で使われます。
例えば、「我们先对齐一下需求。」と言われたら、
「まず要件について認識を合わせましょう」という意味です。
「需求(xūqiú)」はIT業界でよく使われる「要件・ニーズ」です。
つまり、「对齐需求」は「システムやサービスの要件について、関係者間で認識を一致させる」
というイメージです。
日本語の「認識合わせ」に近い
日本企業でも、「一度、認識合わせしましょう」
という表現があります。中国語の「对齐」は、これにかなり近い感覚で使われます。
例えば、「这个问题我们还没有对齐。」なら、
「この問題について、まだ認識が揃っていません。」
という意味です。
また、「跟客户对齐一下。」なら、「顧客と一度認識を合わせる」
という意味になります。
3.落地(luòdì)=アイデアを「実際の形」にする
三つ目は、落地(luòdì)です。
「落地」は文字通りなら、「地面に降りる」「着地する」
という意味です。
ところがビジネスでは、
計画・アイデア・政策などを、実際の施策や行動として実行する
という意味で使われます。
例えば、「这个方案什么时候可以落地?」と聞かれたら、
「この方案はいつ実行できますか?」もしくは「この計画はいつ具体化できますか?」
という意味になります。
ここで重要なのが、方案(fāng’àn)=方案・解決策・プラン
との組み合わせです。
例えば、我们已经有了解决方案,下一步就是落地。
なら、「解決策はもう決まっています。次は実際に実行する段階です。」
という意味になります。
「アイデア」と「落地」はセットで考える
中国のビジネス会話では、「良いアイデアを出した」だけでは終わりません。
そこで、能不能落地?「実際に実行できるの?」
という視点が出てきます。
そのため、「考えたことを、実際にやるところまで持っていく」
というイメージで覚えると便利です。
4.颗粒度(kēlìdù)=情報や仕事の「細かさ」
そして、少し難しいのが、颗粒度(kēlìdù)です。
「颗粒」は「粒子」「粒」のような意味。
つまり「颗粒度」は、もともとのイメージとしては、
どのくらい細かく分けているか
という「粒の大きさ」です。
ITやビジネスの現場では、情報・計画・分析・業務などの細かさのレベル を表すときに使われます。
例えば、这个方案的颗粒度还不够细。
なら、「このプランは、まだ具体性が足りません。」「もう少し細かいレベルまで詰める必要があります。」
という意味です。
また、我们把时间颗粒度细化到每天。
なら、「時間単位を1日ごとまで細かくします。」
というイメージになります。
「もっと具体的に」と言いたいときに便利
例えば、上司から、再细一点。「もう少し細かくして。」
と言われたとします。
それを、よりビジネスらしい表現で、「把颗粒度再细化一下。」
と表現することもできます。
「颗粒度」という言葉を知っていると、
颗粒度太粗。
「粒度が粗すぎる。」
颗粒度不够细。
「細かさが足りない。」
といった表現も理解できるようになります。
4つの言葉を会話で見てみよう
では、実際のIT企業の会話をイメージしてみましょう。
A:这个项目现在进展怎么样?
このプロジェクト、今どんな進捗?
B:方案已经确定了,但是具体执行还需要再对齐一下。
方案は決まっていますが、具体的な実行についてはもう一度認識合わせが必要です。
A:什么时候可以落地?
いつ実行できますか?
B:预计下个月。
来月を予定しています。
A:好的。项目结束以后记得复盘一下。
分かりました。プロジェクトが終わったら、忘れずに振り返りをしましょう。
B:没问题。另外,这份计划的颗粒度是不是还要细一点?
分かりました。それから、この計画はもう少し細かくしたほうがいいですか?
どうでしょうか。
一見すると難しそうですが、
对齐=認識を合わせる
落地=実行する
复盘=振り返る
颗粒度=細かさ・具体性のレベル
と覚えておけば、会話の流れがかなり見えてきます。
なぜ中国のIT企業では、こうした言葉がよく使われるの?
これらの言葉に共通しているのは、単純な作業を表す言葉ではなく、
「プロジェクトをどう進めるか」を表現していることです。
例えば、
对齐
↓
関係者の認識を合わせる
落地
↓
計画を実行する
复盘
↓
結果を振り返る
颗粒度
↓
計画や情報をどのレベルまで具体化するか
という流れがあります。
つまり、これらを知ると、中国語の単語を4つ覚えるだけでなく、中国の職場でプロジェクトがどのように語られているのかも見えてきます。
教科書の中国語から、一歩先へ
中国語の学習では、
「こんにちは」
「これは何ですか?」
「中国へ行ったことがあります」
といった日常会話から始めるのが一般的です。
もちろん、こうした基礎表現はとても重要です。
しかし、中国の大学や企業、IT業界などで実際にコミュニケーションを取るなら、それだけでは足りません。
現地では、
复盘、对齐、落地、颗粒度
のような、教科書だけでは分かりにくい言葉も飛び交っています。
特に深圳は、中国を代表するテクノロジー都市の一つ。
中国語を学ぶときにも、「中国語を勉強する」だけでなく、「中国でどのような言葉が実際に使われているのかを知る」
という視点を持つと、学習の楽しさがさらに広がります。
中国のIT企業、スタートアップ、テクノロジー産業に興味がある人は、ぜひ今回紹介した4つの言葉を覚えてみてください。
复盘、对齐、落地、颗粒度。
次に中国のビジネス動画やSNS、ニュースを見たとき、きっと今までとは少し違って聞こえてくるはずです。
深圳大学東京校では、中国語そのものだけでなく、現代中国の社会・ビジネス・テクノロジーを知ることにつながる学びを通して、中国をより身近に感じられる学習環境を目指しています。
「中国語を使って、もっと中国を知りたい。」
そんな人は、教科書の外にある「リアルな中国語」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
