出願受付中!(2027年4月入学対象)詳細はこちら   

中国のハイテク企業でよく使われるビジネス用語5選【第2回】

中国語を勉強していると、単語の意味は分かるのに、ビジネスの会話になると何を言っているのか分からない、という経験はありませんか?特に、深圳のIT企業やスタートアップなどでは、日常会話や教科書ではあまり見かけないビジネス用語が頻繁に使われています。

前回の記事では、「复盘(fùpán)」「对齐(duìqí)」「落地(luòdì)」「颗粒度(kēlìdù)」という4つの言葉を紹介しました。今回はその第2回として、さらに5つの表現を取り上げます。

今回紹介するのは、次の5つです。

  • 抓手(zhuāshǒu)
  • 赋能(fùnéng)
  • 闭环(bìhuán)
  • 拉通(lātōng)
  • 迭代(diédài)

いずれも、ビジネスの文脈で見かけることのある表現です。漢字をそのまま日本語に置き換えるだけでは意味が分かりにくいものもあります。実際の会話例を通して、使い方を見ていきましょう。

1.抓手(zhuāshǒu)=具体的な取り組みの切り口・実行手段

「抓」は「つかむ」、「手」は「手」という意味です。文字どおりに訳すと「手すり」のようになりますが、ビジネスでは、目標を実現するための具体的な取り組みや、問題を解決するための有効な切り口を指します。

日本語では、文脈に応じて「具体策」「実行手段」「重点施策」などと訳すと分かりやすいでしょう。

例えば、次のような例文があります。

我们需要找到新的增长抓手。

「新たな成長のための具体策を見つける必要があります。」

ここでいう「增长(zēngzhǎng)」は「成長・増加」です。企業が売上や利用者数を伸ばしたいとき、そのために何を重点的に実行するのか。その具体的な手段が「增长抓手」です。例えば、SNSでの情報発信を強化する、法人向けサービスを開発する、新しい販売チャネルを開拓する、といった取り組みが考えられます。

もう一つ、例を見てみましょう。

这个项目的核心抓手是什么?

「このプロジェクトの中心となる具体策は何ですか?」

単に「何をするのですか」と聞くのではなく、「目標を達成するための決め手は何か」というニュアンスがあります。中国企業との会議で「抓手」という言葉が出てきたら、具体的に何を実行するのか、という点に注目してみましょう。

2.赋能(fùnéng)=能力や成果を引き出す・支援する

「赋」は「与える」、「能」は「能力」という意味を持ちます。ビジネスでは、人や組織、企業などが本来持つ能力を発揮できるように支援したり、新しい能力を身につけられるようにしたりすることを表します。

日本語では「エンパワーメント」と表現されます。

例えば、次のように使います。

AI技术正在为企业赋能。

「AI技術が企業の能力向上を支えています。」

AIを導入することで、業務を効率化したり、データ分析を高度化したり、新しいサービスを生み出したりすることをイメージすると分かりやすいでしょう。

また、次のような表現もあります。

我们希望通过培训为员工赋能。

「研修を通じて、従業員の能力向上を支援したいと考えています。」

「赋能」は、テクノロジーだけでなく、人材育成や組織運営、企業間の協力など、さまざまな場面で使われます。例えば、ある企業が取引先の販売力を高めるために、研修やデータ分析ツールを提供する場合も、「赋能」する取り組みと表現できます。ただし、何でも「赋能」と言い換えればよいわけではありません。具体的に何を支援し、どのような能力や成果につなげるのかが重要です。

3.闭环(bìhuán)=一連のプロセスを完結させる

「闭」は「閉じる」、「环」は「輪・環」という意味です。ビジネスでは、業務や問題解決のプロセスを途中で終わらせず、結果の確認や改善まで含めて一連の流れを完結させることを指します。日本語では「一連の流れを完結させる」「対応を完結させる」「PDCAを回す」といった表現が近いでしょう。

例えば、次のように使います。

我们需要建立完整的管理闭环。

「一連の管理プロセスをきちんと完結できる仕組みを構築する必要があります。」

具体例を考えてみましょう。

ここまでの流れがつながっていれば、対応の「闭环」ができていると考えられます。

「闭环」は、単に仕事を終わらせるというより、結果が確認でき、必要な対応までつながっている状態を意識すると理解しやすいでしょう。

4.拉通(lātōng)=関係者や部門をつなぎ、調整する

「拉」は「引く」、「通」は「通す」という意味です。ビジネスでは、関係する人や部門の間をつなぎ、情報共有や調整を行って、物事を円滑に進めるという意味で使われます。

日本語では「関係者間を調整する」「部門間の連携を取る」「全体をすり合わせる」などと訳せます。

例えば、次のような表現があります。

我来拉通一下各个部门。

「私が各部門の調整を行います。」

例えば、新しいアプリを開発する場合、開発部門だけでなく、営業部門、マーケティング部門、カスタマーサポート部門などとの連携が必要になります。それぞれの部門が別々に動いていると、スケジュールや仕様について認識のずれが生まれることがあります。そこで、関係者から情報を集め、課題を整理し、全体の方向性を管理するなど一連の調整が必要です。こうした調整を  「拉通」と表現されます。

なお、「拉通」は単に情報を共有するだけでなく、関係者をつなぎ、実際に物事を進められる状態にするというニュアンスを持つことがあります。前回紹介した「对齐」が認識や方向性を合わせることに重点を置くのに対し、「拉通」は関係者や部門を横断して調整することに重点がある、と整理すると違いが分かりやすいでしょう。

5.迭代(diédài)=改善を繰り返し、進化させる

もともとは「交代する」「順次入れ替わる」といった意味を持つ言葉ですが、しかし、中国のIT業界やハイテク企業では、少し独特なニュアンスで使われています。

例えば、下記のような例文は一般的な使用例です。

现代科技产品的迭代速度极快,稍微不注意就会被市场淘汰。

「現代のテクノロジー製品はアップデートのサイクルが非常に速く、少しでも油断すると市場から淘汰されてしまいます。」

IT企業では、最初から完璧な製品を作ることだけを目指すのではなく、まず基本的な機能をリリースし、ユーザーのフィードバックを集めながら、機能や使いやすさを少しずつ改善していく開発手法がよく見られます。こうした改善の繰り返しを「迭代」と表現します。

例えば、

我们每两周进行一次版本迭代。

「私たちは2週間ごとにバージョンアップを行います。」

日本語の「アップデート」は、ソフトウェアやシステムを新しい状態に更新するという意味で使われることが多いですが、中国のIT企業で使われる「迭代」には、更新するだけでなく、ユーザーのニーズに合わせて製品そのものをより良くしていくという考え方が含まれています。

5つの言葉を会話で見てみよう

それでは、今回の5つの用語を使った会話をイメージしてみましょう。

A:我们这个季度的增长目标是什么?
今四半期の成長目標は何ですか?

B:我们想通过AI产品找到新的增长抓手。
AI製品を通じて、新たな成長のための具体策を見つけたいと考えています。

A:那需要哪些部门配合?
では、どの部門の協力が必要ですか?

B:我会拉通产品、研发和市场团队。
私がプロダクト、開発、マーケティングの各チームを調整します。

A:很好。产品上线以后,也要根据用户反馈不断迭代。
いいですね。製品のリリース後も、ユーザーのフィードバックを踏まえて継続的に改善していきましょう。

B:没问题。我们也会建立反馈和改进的闭环。
分かりました。フィードバックから改善までの一連の流れも構築します。

A:这样才能真正为客户赋能。
そうしてこそ、本当の意味で顧客の能力向上を支援できます。

いかがでしょうか。

これらの表現を知っていると、中国語の会議やビジネス関連の動画を見たときに、単語の意味だけでなく、仕事の進め方も理解しやすくなります。

教科書だけでは分からない、中国のリアルなビジネス中国語

今回紹介した言葉に共通しているのは、単なる作業や行動だけでなく、目標達成や組織運営、継続的な改善といった考え方を表現していることです。

もちろん、業界や企業、部署、話し手によっても使われ方は異なります。それでも、こうした表現を知っておくと、中国企業の会議やビジネス記事、業界ニュースを理解するうえで役立つでしょう。

特に深圳は、IT、通信、AI、ロボット、電気自動車など、さまざまな先端産業が集まる都市です。中国のテクノロジー企業に関心がある人にとって、現場で使われる言葉を学ぶことは、中国語の学習を実際のビジネスへの理解につなげる一つの方法です。

中国語を学ぶことは、単に言葉を覚えることではありません。その言葉が使われる社会や文化、仕事の進め方を理解することでもあります。ぜひ今回の5つの用語も覚えて、中国語の学習を一歩先へ進めてみてください。

深圳大学東京校では、中国語に加えて、中国の社会・ビジネス・テクノロジーへの理解を深める学びを大切にしています。中国語を使って、世界のビジネスやテクノロジーをもっと知りたい。そんな方は、ぜひ深圳という都市にも注目してみてはいかがでしょうか。

よかったらシェアしてね!
目次